食文化

アルゼンチン人は食べることに重きを置きます。国内で生産される畜産物・農産物の多彩さ、豊富さと品質のおかげか、国民にとって食事は、親しい人と集まる機会であり暮らしにおける大切な娯楽の時間なのです。

アルゼンチンの郷土料理は、移民(特にイタリア、スペイン、フランス、ギリシア、アラブ地域、ユダヤからの移民)の影響を強く受け、さらに原住民族の伝統とも合わさって、確立されました。

当地では、たっぷりと食事を摂る人が多く、一日平均3~4回の食事のうち、特に昼食と夕食がしっかりと食される傾向があります。時間は昼食が12時から午後2時ごろ、夕食は晩9時ごろにとる人が多いです。

朝食は、ホテルや喫茶店ではカフェオレ(「カフェ・コン・レチェ))または紅茶と一緒に、バターやジャム、伝統の「ドゥルセ・デ・レチェ」(ミルクジャム)、クリームチーズなどを塗ったトースト、あるいはクロワッサン(「メディアルーナ」)を食べる、いわゆるヨーロッパ風朝食が一般的です。

家庭では、このようなヨーロッパ風朝食に加え、マテ茶やマテ・コシード(ティーバックのマテ茶にミルクを加えたりする)を飲み、「ビスコチョ」(スコーンに似たビスケットパン)や牛脂入りの平たいパン「トルティータ」、焼きたてのフランスパンにジャムをつけて食べたりします。

おやつも、たいてい朝食と似たような内容ですが、ハムとチーズのサンドイッチのようなものを食べる場合もあります。最もスタンダードなパンがフランスパンやバゲットであるアルゼンチンにおいて、耳を取った食パンで作るサンドを特に「サンウィチェ・デ・ミガ」と呼び、好んで食されます。

アルゼンチン料理の特徴

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    アルゼンチン牛肉は大変良質で、おそらく、外国から訪れるお客様にいちばん気に入っていただける食材でしょう。アルゼンチン国民の食生活において欠くことのできないもので、網焼きや鉄板でグリルしたり、揚げ物やオーブン料理もあります。

    肉汁したたるあばら肉のロースステーキ「ビフェ・デ・チョリソ」(切り身がチョリソーの形に似ていることからそう呼ばれます)や、長く切った塊肉のクリオージョ風バーベキュー「アサード・デ・ティラ」などは、一度召し上がったことのある皆様が「忘れられない味だ」とおっしゃいます。

    「パリージャス」と呼ばれるバーベキューレストランでは、合挽き肉のチョリソーや細長い網焼き用ソーセージ「サルチーチャ・パリジェラ」も食べられ、これらをフランスパンに挟んだ「チョリパン」が人気です。

    また、ブラッド(血入り)ソーセージ「モルスィージャ」は、クリオージョ風のほか、レーズンやくるみの入ったバスク風も食べられます。

    各種モツの焼肉は「アンチューラス」と総称されます。「モジェハ」(胸腺のシビレ)「リニョン」(マメ、腎臓)「チンチュリネス」(小腸)、「トリパ・ゴルダ」(テッチャン、大腸)などの部位が出されており、大変美味でお試しになる価値があります。

    パリージャスでは、多様な野菜のサラダバーがあることが多いですし、また通常パスタ料理も提供されていますから、ベジタリアンの方も安心して、肉を食べたいお客様と同席されることが可能です。

    肉といえば忘れてはならないのが、パタゴニア羊肉(「コルデロ・パタゴニコ」)です。使用されるのは、羊乳や春先の柔らかい牧草で育った2~3ヶ月程度の子羊で、やさしい味の柔らかい肉です。パタゴニア羊肉は六感に訴えかけるその素晴らしい味わいと、世界で最も汚染の少ない地域で生産されることからも、その名が知られています。パタゴニアへお越しの際は是非お試しを。

  • Milanesa / 「ミラネサ」

    「ミラネサ」(ミラノ風牛カツ)は薄く叩いた肉に細挽きのパン粉をまぶし、少ない油で揚げたものです。家庭ではよく、クリーミーなマッシュポテトや、クリージョ風サラダ(レタスとトマトに少量の薄切り玉ねぎを加えたもの)を添えて食べられます。

    レストランででは、フライドポテトを添えて、上に一つか二つ目玉焼きを載せた、「ミラネサ・ア・カバージョ(馬乗りミラネサ)」と呼ばれるメニューもあります。

    また、上にチーズ、トマト、オレガノやハムなどを載せてオーブンで焼く「ミラネサ・ナポリターナ」というバージョンもあり、矛盾を含んだその名称(ナポリ風のミラノ風という意味)は、イタリアからのお客様がお笑いになる所以です。

  • 魚料理

    魚は一般的に言って、アルゼンチン家庭の食卓に毎日上る食品ではありません。 国土が5100キロメートル超の海岸線を有し、領海内には多種多様な魚類が生息していることを考えますと不思議なことですが、魚介の消費量は他の食品に比べるとずっと低いのです。

    とはいえ、メニューに魚料理が含まれているレストランは少なくありません。また、ウシュアイアへお越しの際は、「セントージャ・フエギーニャ」(タラバガニ科に属する、ティエラ・デル・フエゴ大島特産の蟹の一種)を召し上がることをおすすめします。

  • Locro / 「ロクロ」

    ロクロは赤チョリソーやベーコン、白とうもろこし、南瓜、「モンドンゴ」(牛の胃、センマイやハチノスのこと)などが入った煮込み料理です。冬の料理で、特に国家に関する記念日・祝日を祝ってよく食べられます。レストランでも、普段はメニューになくてもそういった日にだけは提供する、という店が多くあります。

  • Humita / 「ウミータ」

    ウミータはアンデス地方の伝統料理で、アルゼンチンでもいくつかの州で食されています。とうもろこしを玉ねぎ、赤ピーマンなどと炒めて、スパイシーに調味し、柔らかくペースト状に煮たものです。

  • Empanada / 「エンパナーダ」

    様々な具を、うすく伸ばした小麦粉生地で包み、カリッとオーブン焼いたり揚げたりしたもの。最もスタンダードな具は牛ひき肉で作られますが、種類は多く、州の数だけエンパナーダがある、と言われます。前菜としてつまんだり、メインとして食べたりします。

  • 菓子

    甘いもの好きのかたにおすすめしたいのは、アルゼンチンで「ファクトゥーラス」と呼ばれる菓子パンと、「アルファホール」です。 菓子パン生地にはたっぷりとバターが使われ、中にカスタードクリームやドゥルセデレチェ、マルメロの実のジャム(「ドゥルセ・デ・メンブリージョ」)が入ったものが多いです。 アルファホールは、クッキー状の丸い生地二枚の間にジャムを挟んだパイで、外側はチョコレートかシュガーコーティングがされていたり、粉砂糖がかかったものもあります。中のジャムはドゥルセデレチェが一般的ですが、フルーツジャムやチョコレートムースなど、他にも種類があります。

飲み物

  • ワイン

    アルゼンチンワインを語らずにアルゼンチン料理を語ることはできません。アルゼンチンはラテンアメリカ最大の、そして世界で第5位のワイン生産国です。

    近年は特に、年を追ってその質を向上させ、世界市場での存在感を強めています。クージョ地方は、多種のぶどうが栽培されており、国内の最重要ワイナリー(「ボデガ」)が並ぶ地です。

    ワイナリーはこの地方の各州に渡って数多くありますから、それをめぐる旅というのも、アルゼンチンという国とその人々を深く知るという意味でも、おすすめしたい旅のし方です。

  • マテ茶

    「マテ」は、「ジェルバ・マテ」と呼ばれる茶葉にお湯を注ぎ、「ボンビージャ」という、先に漉し器が付いた金属のストローで飲む飲み物です。その際の茶器として、小さなヒョウタンから作ったものが伝統的に使われるのですが、「マテ」とは本来このヒョウタンの植物を指しました。

    隣国ウルグアイでも非常によく飲まれるマテ茶ですが、ジェルバ・マテはアルゼンチン北東のミシオネス州とコリエンテス州でのみ生産されています。